新古今和歌集 巻第十一 恋歌一 1078番
蜑のかる
海人の刈る海松布を浪にまぎれさせながら、名草の浜を尋ねあぐねたことだ。
場面イラスト(準備中)
現代語訳
〔詞書〕「隠名恋(名を隠す恋)」という題を。
海人の刈る海松布を浪にまぎれさせながら、名草の浜を尋ねあぐねたことだ。
意訳
海人の刈る海松布が浪にまぎれて見つからないように、会う機会も見つからない。名を隠したあの人を、慰めを求めて名草の浜まで尋ねあぐねた。
語釈・文法注
- みるめ
- 「海松布」と「見る目(会う機会)」を掛ける。
- 名草の浜
- 紀伊国の歌枕。「慰め」を響かせる。
和歌
- 作者
- 藤原俊成(ふじわらのとしなり(しゅんぜい)) 1114–1204
藤原定家の父。『千載和歌集』を撰び、歌論書『古来風体抄』を著した。余情と「幽玄」を重んじる歌風で、御子左家の歌学の基礎を築き、新古今時代の歌人たちを導いた。法名は釈阿。 - 出典
- 『新古今和歌集』巻第十一・恋歌一・1078番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「隱名戀といへる心を」(「隠名恋(名を隠す恋)」という題を)。
修辞
- 掛詞
- 「みるめ」に「海松布」と「見る目」。
解説
俊成の歌。底本は結句を「尋ねわびつる」とするが、「尋ねわびぬる」とする本もある。
関連
出典
- 底本
- 『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、195頁(コマ107)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日