新古今和歌集 巻第十一 恋歌一 1031番
空蟬の
蟬の鳴く声がよそに漏れるように、森の露のような涙で乾かしきれない袖を、人が尋ねるまでになった。
場面イラスト(準備中)
現代語訳
〔詞書〕家で歌合をしました時に、「夏恋」の心を。
蟬の鳴く声がよそに漏れるように、森の露のような涙で乾かしきれない袖を、人が尋ねるまでになった。
意訳
蟬の鳴き声が森の外に漏れるように、私の忍び泣きも外に漏れたのか。涙で乾ききらない袖を、人に尋ねられるまでになってしまった。
語釈・文法注
- もり
- 「漏り」と「森」を掛ける。
和歌
- 作者
- 藤原良経(後京極摂政)(ふじわらのよしつね) 1169–1206
九条兼実の子。摂政・太政大臣に至った。『新古今和歌集』の仮名序を書き、和歌所の寄人の筆頭として撰集を主導した。叔父の慈円や藤原定家ら御子左家の歌人を庇護し、清新で格調の高い歌を詠んだ。書にもすぐれ、後京極流の祖とされる。『新古今和歌集』に七十九首が入る。 - 出典
- 『新古今和歌集』巻第十一・恋歌一・1031番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「家に歌合し侍りけるに、夏戀の心を」(家で歌合をしました時に、「夏恋」の心を)。
修辞
- 掛詞
- 「もり」に「漏り」と「森」。
解説
良経の歌。
関連
出典
- 底本
- 『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、188頁(コマ104)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日