古典ライブラリー

新古今和歌集 巻第十 羇旅歌 988番

思ひおく

西行法師(さいぎょうほうし)

思いを残してきた人の心に慕われて、露を分けて行く袖が、帰ってしまうことだ。

作者
西行法師
  1. 1旅たび旅たびたびののの歌うた歌うたうたとてとてとて詞書
  2. 2思おも思おもおもひおくひおくいおく初句
  3. 3人ひと人ひとひとののの心こころ心こころこころににに二句
  4. 4したはれてしたはれてしたわれて三句
  5. 5露つゆ露つゆつゆわくるわくるわくる袖そで袖そでそでののの四句
  6. 6かへりぬるかなかへりぬるかなかえりぬるかな結句

引用の仕方

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現代語訳

〔詞書〕旅の歌として。

思いを残してきた人の心に慕われて、露を分けて行く袖が、帰ってしまうことだ。

意訳

思いを残してきた人の心に引かれて、露を分けて進む私の袖は、つい故郷の方へ翻って、帰りたくなってしまう。

語釈・文法注

かへり
袖が「翻る」と「帰る」を掛ける。

和歌

作者
西行法師(さいぎょうほうし) 1118–1190
俗名は佐藤義清(のりきよ)。鳥羽院の北面の武士だったが、二十三歳で出家し、諸国を旅して歌を詠んだ。自然と人生の哀感を率直に詠み、『新古今和歌集』に最も多い九十四首が入る。家集に『山家集』がある。
出典
『新古今和歌集』巻第十・羇旅歌・988番
歌体
短歌
状況
詞書「旅の歌とて」(旅の歌として)。

修辞

字余り
第四句。
掛詞
「かへり」に「翻り」と「帰り」。

解説

西行の歌。

関連

出典

底本
『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、180頁(コマ100)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
更新日