新古今和歌集 巻第十 羇旅歌 978番
世の中を
世の中を厭うて出家するまではむずかしいだろうが、仮の宿を貸すことさえ惜しむあなたよ。
場面イラスト(準備中)
現代語訳
〔詞書〕天王寺へ参りました時に、急に雨が降ったので、江口で宿を借りようとしましたが、貸しませんでしたので詠みました歌。
世の中を厭うて出家するまではむずかしいだろうが、仮の宿を貸すことさえ惜しむあなたよ。
意訳
この世を捨てて出家することはむずかしいだろうが、仮の宿を一晩貸すことさえ惜しむとは、なんとつれないあなたか。
語釈・文法注
- 江口
- 摂津国の地名。遊女の里として知られた。
- かりの宿り
- 「仮の宿(この世)」と、宿を「借り」を掛ける。
和歌
- 作者
- 西行法師(さいぎょうほうし) 1118–1190
俗名は佐藤義清(のりきよ)。鳥羽院の北面の武士だったが、二十三歳で出家し、諸国を旅して歌を詠んだ。自然と人生の哀感を率直に詠み、『新古今和歌集』に最も多い九十四首が入る。家集に『山家集』がある。 - 出典
- 『新古今和歌集』巻第十・羇旅歌・978番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「天王寺へ參り侍りけるに、俄に雨ふりければ、江口に宿をかりけるに、かし侍らざりければよみ侍りける」(天王寺へ参りました時に、急に雨が降ったので、江口で宿を借りようとしましたが、貸しませんでしたので詠みました歌)。
修辞
- 掛詞
- 「かり」に「仮」と「借り」。
解説
西行の歌。底本は第四句を「かりの宿りを」とするが、「かりの宿りも」とする本もある。
関連
出典
- 底本
- 『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、178頁(コマ99)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日