新古今和歌集 巻第十 羇旅歌 917番
わがごとく
私が捜しているように、もし私を捜す人がいたら、海人の小舟よ、その人もいないので、渚の跡と答えてくれ。
場面イラスト(準備中)
- 1いそのいそのいそのへちのへちのへちの方方かたににに修行修行しゅぎょうししし侍侍はべりけるにりけるにりけるに、、、ひとりひとりひとり具具ぐしたりけるしたりけるしたりける同行同行どうぎょうををを尋尋たずねうしなひてねうしなひてねうしないて、、、もとのもとのもとの岩屋岩屋いわやののの方方かたへへへ歸歸かえるとてるとてるとて、、、海人海人あまののの見見みえけるにえけるにえけるに、、、修行者修行者すぎょうざ見見みえばこれえばこれえばこれをををとらせよとてよみとらせよとてよみとらせよとてよみ侍侍はべりけるりけるりける詞書
- 2わがごとくわがごとくわがごとく初句
- 3われわれわれををを尋尋たずねばねばねば二句
- 4あまあまあま小舟小舟おぶね三句
- 5人人ひとももも渚渚なぎさののの四句
- 6跡跡あとととと答答こたへよへよえよ結句
現代語訳
〔詞書〕磯辺の方で修行しておりました時に、一人連れていた修行仲間を見失って、もとの岩屋の方へ帰るといって、漁師が見えたので、修行者が見えたらこれを渡してくれといって詠みました歌。
私が捜しているように、もし私を捜す人がいたら、海人の小舟よ、その人もいないので、渚の跡と答えてくれ。
意訳
私があの人を捜しているように、あの人が私を捜して来たら、漁師よ、こう答えてくれ。「その人はもういない。渚に足跡が残っているだけだ」と。
語釈・文法注
- 同行
- 一緒に修行する仲間。
- なぎさ
- 「無き」と「渚」を掛ける。
和歌
- 作者
- 行尊(ぎょうそん) 1055–1135
源基平の子。園城寺の僧で、大峰山などで修行を重ね、のち天台座主・大僧正に至った。修行の旅の歌が多い。 - 出典
- 『新古今和歌集』巻第十・羇旅歌・917番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「いそのへちの方に修行し侍りけるに、ひとり具したりける同行を尋ねうしなひて、もとの岩屋の方へ歸るとて、海人の見えけるに、修行者見えばこれをとらせよとてよみ侍りける」(磯辺の方で修行しておりました時に、一人連れていた修行仲間を見失って、もとの岩屋の方へ帰るといって、漁師が見えたので、修行者が見えたらこれを渡してくれといって詠みました歌)。
修辞
- 掛詞
- 「なぎさ」に「無き」と「渚」。
解説
行尊の歌。
関連
出典
- 底本
- 『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、168頁(コマ94)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日