新古今和歌集 巻第八 哀傷歌 854番
悔しくぞ
悔しいことに、またの時に会おうと約束したことだ。今日が限りと言えばよかったのに。
場面イラスト(準備中)
- 1病病やまいにしづみてにしづみてにしずみて、、、久久ひさしくこもりゐてしくこもりゐてしくこもりいて侍侍はべりけるがりけるがりけるが偶偶たまたまよろしうなりてよろしうなりてよろしゅうなりて、、、內內うちににに參參まいりてりてりて、、、右大辨右大辨うだいべん公忠公忠きんただ藏人藏人くろうどににに侍侍はべりけるにりけるにりけるに逢逢あひてひていて、、、又又また明後日明後日あさてばかりばかりばかり參參まいるべきよしるべきよしるべきよし申申もうしてまかりしてまかりしてまかり出出いでにけるまヽにでにけるまヽにでにけるまヽに、、、病病やまい重重おもくなりてくなりてくなりて限限かぎりににに侍侍はべりければりければりければ、、、公忠朝臣公忠朝臣きんただのあそんにつかはしけるにつかはしけるにつかわしける詞書
- 2悔悔くやしくぞしくぞしくぞ初句
- 3時時ときににに逢逢あはむとはむとわむと二句
- 4契契ちぎりけるりけるりける三句
- 5今日今日きょうをををかぎりとかぎりとかぎりと四句
- 6言言いははわましものましものましものををを結句
現代語訳
〔詞書〕病に沈んで、長く引きこもっておりましたが、たまたま具合がよくなって、内裏に参上して、右大弁公忠がまだ蔵人でしたのに会って、またあさってごろ参上するつもりだと申して退出しましたが、そのまま病が重くなって臨終になりましたので、公忠朝臣に贈った歌。
悔しいことに、またの時に会おうと約束したことだ。今日が限りと言えばよかったのに。
意訳
またいつか会おうと約束したことが悔やまれる。あの日が最後だと知っていたなら、そう言っておけばよかった。
語釈・文法注
- まし
- 〜すればよかったのに。
和歌
- 作者
- 藤原季縄(ふじわらのすえなわ) ?–919
藤原千乗の子。右近少将などを務めた。交野の少将と呼ばれた。 - 出典
- 『新古今和歌集』巻第八・哀傷歌・854番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「病にしづみて、久しくこもりゐて侍りけるが偶よろしうなりて、內に參りて、右大辨公忠藏人に侍りけるに逢ひて、又明後日ばかり參るべきよし申してまかり出でにけるまヽに、病重くなりて限に侍りければ、公忠朝臣につかはしける」(病に沈んで、長く引きこもっておりましたが、たまたま具合がよくなって、内裏に参上して、右大弁公忠がまだ蔵人でしたのに会って、またあさってごろ参上するつもりだと申して退出しましたが、そのまま病が重くなって臨終になりましたので、公忠朝臣に贈った歌)。
修辞
- 倒置
- 倒置。
解説
季縄の歌。底本は第二句を「時に逢はむと」とするが、「のちに逢はむと」とする本もある。
関連
出典
- 底本
- 『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、155頁(コマ87)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日