古典ライブラリー

新古今和歌集 巻第八 哀傷歌 843番

見し人は

行遍(ぎょうへん)

見慣れた人はもうこの世にいない。渚の藻塩草をかき集めるように、名を書き置くたびに、袖が涙にしおれる。

作者
法橋行遍(行遍)
  1. 1亡なく亡なくなくなりたるなりたるなりたる人ひと人ひとひとののの數かず數かずかずををを、、、卒塔婆そとば卒塔婆そとばそとばににに書か書かかきてよみきてよみきてよみ侍はべ侍はべはべりけるりけるりける詞書
  2. 2見み見みみししし人ひと人ひとひとははは初句
  3. 3世よ世よよにもなぎさのにもなぎさのにもなぎさの二句
  4. 4藻鹽もしほ藻鹽もしほもしお草ぐさ草ぐさぐさ三句
  5. 5かきかきかき置お置おおくくく度たび度たびたびににに四句
  6. 6袖そで袖そでそでぞしをるゝぞしをるゝぞしおるる結句

引用の仕方

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現代語訳

〔詞書〕亡くなった人の数を、卒塔婆に書いて詠みました歌。

見慣れた人はもうこの世にいない。渚の藻塩草をかき集めるように、名を書き置くたびに、袖が涙にしおれる。

意訳

親しかった人々は、もうこの世にいない。卒塔婆にその名を一人また一人と書き記すたびに、袖は涙にしおれていく。

語釈・文法注

なぎさ
「無き」と「渚」を掛ける。
藻塩草
塩をとる海藻。「かく」を導く。
かき
「掻き」と「書き」を掛ける。

和歌

作者
行遍(ぎょうへん) 生没年未詳(十二世紀末)
平安末期の僧。法橋の位にあった。
出典
『新古今和歌集』巻第八・哀傷歌・843番
歌体
短歌
状況
詞書「亡なりたる人の數を、卒塔婆に書きてよみ侍りける」(亡くなった人の数を、卒塔婆に書いて詠みました歌)。

修辞

掛詞
「なぎさ」に「無き」と「渚」、「かき」に「掻き」と「書き」。

解説

行遍の歌。

関連

出典

底本
『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、152頁(コマ86)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
更新日