新古今和歌集 巻第八 哀傷歌 842番
誰もみな
誰もみな、涙の雨をせきとめかねた。空もどうして平気でいられようか。
場面イラスト(準備中)
- 1母母ははのためにのためにのために、、、粟田粟田あわた口口くちののの家家いえにてにてにて佛供養佛供養ぶつくようししし侍侍はべりけるりけるりける時時とき、、、兄弟兄弟はらからみなみなみな詣詣もうででで來來きあひてあひてあいて、、、古古ふるききき面影面影おもかげなどなどなど更更さらにしのびにしのびにしのび侍侍はべりけるりけるりける折折おりしもしもしも、、、雨雨あめかきくらしかきくらしかきくらし降降ふりりり侍侍はべりければりければりければ、、、歸歸かえるとてるとてるとて、、、かのかのかの堂堂どうののの障子障子しょうじにかきつけにかきつけにかきつけ侍侍はべりけるりけるりける詞書
- 2誰誰たれもみなもみなもみな初句
- 3涙涙なみだののの雨雨あめににに二句
- 4せきかねぬせきかねぬせきかねぬ三句
- 5空空そらもいかゞはもいかゞはもいかがは四句
- 6つれなかるべきつれなかるべきつれなかるべき結句
現代語訳
〔詞書〕母のために、粟田口の家で仏事の供養をしました時、兄弟がみな参り集まって、昔の面影などを改めて偲んでおりましたちょうどその時、雨が空を暗くして降りましたので、帰るといって、その堂の障子に書きつけました歌。
誰もみな、涙の雨をせきとめかねた。空もどうして平気でいられようか。
意訳
兄弟はみな、母を偲ぶ涙の雨をとどめることができなかった。空もまた、どうして平然としていられようか。こうして雨を降らせている。
語釈・文法注
- いかがは
- 反語。
和歌
- 作者
- 藤原忠経(ふじわらのただつね) 1173–1229
藤原兼房の子。右大臣に至った。 - 出典
- 『新古今和歌集』巻第八・哀傷歌・842番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「母のために、粟田口の家にて佛供養し侍りける時、兄弟みな詣で來あひて、古き面影など更にしのび侍りける折しも、雨かきくらし降り侍りければ、歸るとて、かの堂の障子にかきつけ侍りける」(母のために、粟田口の家で仏事の供養をしました時、兄弟がみな参り集まって、昔の面影などを改めて偲んでおりましたちょうどその時、雨が空を暗くして降りましたので、帰るといって、その堂の障子に書きつけました歌)。
修辞
- 三句切れ
- 三句切れ。
解説
忠経の歌。
関連
出典
- 底本
- 『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、152頁(コマ86)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日