新古今和歌集 巻第八 哀傷歌 808番
ほしもあへぬ
涙で乾かしきれない喪服の闇に暮らされて、月の明るい夜とも思わず、迷ってしまったことだ。
場面イラスト(準備中)
現代語訳
〔詞書〕恒徳公が亡くなった後、女のもとに月の明るい夜にひそかに出かけて詠みました歌。
涙で乾かしきれない喪服の闇に暮らされて、月の明るい夜とも思わず、迷ってしまったことだ。
意訳
父を失った悲しみの涙で、喪服の袖は乾くひまもない。その心の闇に閉ざされて、明るい月夜とも気づかずに、道に迷ってしまった。
語釈・文法注
- 恒徳公
- 藤原為光。道信の父。
- 衣の闇
- 喪服の黒さと心の闇を重ねる。
和歌
- 作者
- 藤原道信(ふじわらのみちのぶ) 972–994
太政大臣藤原為光の子。和歌にすぐれたが、二十三歳の若さで亡くなった。藤原実方と親しかった。 - 出典
- 『新古今和歌集』巻第八・哀傷歌・808番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「恒德公かくれて後、女の許に月あかき夜忍びてまかりてよみ侍りける」(恒徳公が亡くなった後、女のもとに月の明るい夜にひそかに出かけて詠みました歌)。
解説
道信の歌。
関連
出典
- 底本
- 『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、145頁(コマ82)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日