新古今和歌集 巻第八 哀傷歌 789番
露をだに
せめて露だけでも、今は形見の藤衣なのに、むなしくも袖を吹く嵐よ。
場面イラスト(準備中)
現代語訳
〔詞書〕父秀宗が亡くなった年の秋、「寄風懐旧(風に寄する懐旧)」という題を詠みました歌。
せめて露だけでも、今は形見の藤衣なのに、むなしくも袖を吹く嵐よ。
意訳
今は父の形見として着る喪服の袖に、せめて涙の露だけでもとどめておきたい。それなのに嵐が、無情にも袖の露を吹き払っていく。
語釈・文法注
- 藤衣
- 喪服。
- あだに
- むなしく。
和歌
- 作者
- 藤原秀能(ふじわらのひでよし) 1184–1240
後鳥羽院の北面・西面の武士。和歌所の寄人として院に重んじられた。承久の乱で院方として戦い、のち出家して如願と号した。 - 出典
- 『新古今和歌集』巻第八・哀傷歌・789番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「父秀宗身まかりての秋、寄風懷舊といふことをよみ侍りける」(父秀宗が亡くなった年の秋、「寄風懐旧(風に寄する懐旧)」という題を詠みました歌)。
修辞
- 体言止め
- 体言止め。
解説
秀能の歌。
関連
出典
- 底本
- 『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、141頁(コマ80)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日