新古今和歌集 巻第八 哀傷歌 784番
袖ぬらす
袖を濡らす萩の上葉の露のように、わずかばかり、昔を忘れない虫の音がする。
場面イラスト(準備中)
現代語訳
〔詞書〕従一位源師子が亡くなって、宇治から新少将のもとに贈った歌。
袖を濡らす萩の上葉の露のように、わずかばかり、昔を忘れない虫の音がする。
意訳
萩の上葉の露が袖を濡らす。その露ほどにかすかだが、昔を忘れずに鳴く虫の声が聞こえる。私もまた、亡き人を忘れずに泣いている。
語釈・文法注
- 源師子
- 藤原忠実の妻。
- うは葉
- 上のほうの葉。
- 露ばかり
- わずかばかり。
和歌
- 作者
- 藤原忠実(ふじわらのただざね) 1078–1162
藤原師通の子。関白・太政大臣に至った。忠通・頼長の父。宇治に住み、知足院と号した。 - 出典
- 『新古今和歌集』巻第八・哀傷歌・784番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「從一位源師子かくれ侍りて、宇治より新少將が許につかはしける」(従一位源師子が亡くなって、宇治から新少将のもとに贈った歌)。
修辞
- 掛詞
- 「露ばかり」に萩の「露」と「わずか」の意。
解説
忠実の歌。
関連
出典
- 底本
- 『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、140頁(コマ80)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日