新古今和歌集 巻第八 哀傷歌 771番
菖蒲草
菖蒲草を、昔とは引き違えた墨染の袂には、昔を恋う泣き声がかかっていることだ。
場面イラスト(準備中)
現代語訳
〔詞書〕近衛院がお亡くなりになったので、出家した後、五月五日に皇嘉門院に差しあげた歌。
菖蒲草を、昔とは引き違えた墨染の袂には、昔を恋う泣き声がかかっていることだ。
意訳
今年の五月五日は、かつての華やかな装いとはうって変わった墨染の袂。そこに掛かるのは菖蒲の根ではなく、昔を恋しく思って泣く声ばかりだ。
語釈・文法注
- 引きたがへたる
- 引き違えた。昔とは変わった。
- ね
- 「根」と「音」を掛ける。
和歌
- 作者
- 九条院(くじょういん) 1131–1176
藤原呈子。藤原伊通の娘で、藤原忠通の養女。近衛天皇の中宮。 - 出典
- 『新古今和歌集』巻第八・哀傷歌・771番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「近衛院かくれ給ひにければ、世を背きて後、五月五日皇嘉門院に奉られける」(近衛院がお亡くなりになったので、出家した後、五月五日に皇嘉門院に差しあげた歌)。
修辞
- 掛詞
- 「ね」に「根」と「音」。
解説
九条院の歌。九条院(藤原呈子)は近衛天皇の中宮。
関連
出典
- 底本
- 『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、137頁(コマ78)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日