新古今和歌集 巻第八 哀傷歌 770番
今日くれど
今日が来たけれど、あやめも分からない袂よ。昔を恋う泣き声ばかりがかかって。
場面イラスト(準備中)
現代語訳
〔詞書〕嘆くことのありました五月五日、人のもとへ申し送った歌。
今日が来たけれど、あやめも分からない袂よ。昔を恋う泣き声ばかりがかかって。
意訳
五月五日の今日が来たが、菖蒲の節句どころか、もののあやめも分からないほど涙にくれる袂よ。昔を恋しく思って泣く声ばかりが、袂にかかっている。
語釈・文法注
- あやめも知らぬ
- 物の筋目もわからない。「菖蒲」を掛ける。
- ね
- 「根(菖蒲の根)」と「音(泣く声)」を掛ける。
和歌
- 作者
- 上西門院兵衛(じょうさいもんいんのひょうえ) 生没年未詳(十二世紀)
源顕仲の娘。待賢門院堀河の妹。待賢門院、のち上西門院に仕えた。 - 出典
- 『新古今和歌集』巻第八・哀傷歌・770番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「歎く事侍りける五月五日、人の許へ申し遺しける」(嘆くことのありました五月五日、人のもとへ申し送った歌)。
修辞
- 掛詞
- 「あやめ」に「文目」と「菖蒲」、「ね」に「根」と「音」。
- 三句切れ
- 三句切れ。
解説
上西門院兵衛の歌。
関連
出典
- 底本
- 『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、137頁(コマ78)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日