新古今和歌集 巻第八 哀傷歌 768番
形見とて
形見として見ると、嘆きが深くなる深見草よ。どうしてかえって、このように美しく咲き匂うのだろう。
場面イラスト(準備中)
現代語訳
〔詞書〕六条摂政が亡くなった後、植えておいた牡丹が咲いていたのを折って、女房のもとから贈ってきましたので。
形見として見ると、嘆きが深くなる深見草よ。どうしてかえって、このように美しく咲き匂うのだろう。
意訳
亡き人の形見と思って牡丹を見ると、嘆きがいっそう深くなる。どうしてこの花は、かえって悲しみを深めるように美しく咲き匂っているのだろう。
語釈・文法注
- ふかみ草
- 牡丹の別名。「深み」を掛ける。
- なかなか
- かえって。
和歌
- 作者
- 藤原重家(ふじわらのしげいえ) 1128–1180
藤原顕輔の子で、清輔の弟。大宰大弐を務めた。六条藤家の歌人で、有家の父。 - 出典
- 『新古今和歌集』巻第八・哀傷歌・768番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「六條攝政かくれ侍りて後、植ゑおき侍りける牡丹の咲きて侍りけるを折りて、女房の許より遺して侍りければ」(六条摂政が亡くなった後、植えておいた牡丹が咲いていたのを折って、女房のもとから贈ってきましたので)。
修辞
- 掛詞
- 「ふかみ」に「深み」と「ふかみ草」。
解説
重家の歌。六条摂政は藤原基実。
関連
出典
- 底本
- 『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、136頁(コマ78)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日