新古今和歌集 巻第八 哀傷歌 760番
墨染の
墨染の衣を着ている、つらい世の花盛りに、時節を忘れても、花を折ってしまったことだ。
場面イラスト(準備中)
現代語訳
〔詞書〕正暦二年、諒闇の春、桜の枝につけて道信朝臣に贈った歌。
墨染の衣を着ている、つらい世の花盛りに、時節を忘れても、花を折ってしまったことだ。
意訳
喪に服して墨染の衣を着ている、このつらい年の花盛り。喪中という時節も忘れて、つい桜の枝を折ってしまった。
語釈・文法注
- 諒闇
- 天皇が父母の喪に服する期間。正暦二年(991年)、円融院の崩御による。
- うき世
- 「憂き世」に墨染の衣を「着」る意を響かせる。
- をり
- 「折(時節)」と「折り」を掛ける。
和歌
- 作者
- 藤原実方(ふじわらのさねかた) ?–998
藤原定時の子。左近中将に至ったが、陸奥守として任地に下り、そこで没した。清少納言と親しかった。中古三十六歌仙の一人。 - 出典
- 『新古今和歌集』巻第八・哀傷歌・760番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「正曆二年諒闇の春、櫻の枝につけて道信朝臣に遺しける」(正暦二年、諒闇の春、桜の枝につけて道信朝臣に贈った歌)。
修辞
- 掛詞
- 「をり」に「折(時節)」と「折り」。
解説
実方の歌。
関連
出典
- 底本
- 『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、134〜135頁(コマ77)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日