古典ライブラリー

新古今和歌集 巻第六 冬歌 671番

駒とめて

藤原定家(ふじわらのさだいえ(ていか))

馬をとめて、袖の雪を払う物陰もない。佐野の渡し場の雪の夕暮れよ。

作者
藤原定家朝臣(藤原定家)
  1. 1百首ひやくしゆ百首ひやくしゆひゃくしゅののの歌うた歌うたうた奉たてまつ奉たてまつたてまつりしりしりし時とき時ときとき詞書
  2. 2駒こま駒こまこまとめてとめてとめて初句
  3. 3袖そで袖そでそでうちうちうち拂はら拂はらはらふふう二句
  4. 4蔭かげ蔭かげかげもなしもなしもなし三句
  5. 5佐野さの佐野さのさののわたりののわたりののわたりの四句
  6. 6雪ゆき雪ゆきゆきののの夕ゆふ夕ゆふゆうぐれぐれぐれ結句

引用の仕方

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現代語訳

〔詞書〕百首歌を献上した時の歌。

馬をとめて、袖の雪を払う物陰もない。佐野の渡し場の雪の夕暮れよ。

意訳

馬をとめて袖に積もった雪を払おうにも、身を寄せる物陰ひとつない。佐野の渡し場の、雪の降りしきる夕暮れよ。

語釈・文法注

佐野のわたり
紀伊国の佐野の渡し場(今の和歌山県新宮市)とされる。

和歌

作者
藤原定家(ふじわらのさだいえ(ていか)) 1162–1241
藤原俊成の子。『新古今和歌集』の撰者の一人で、のち『新勅撰和歌集』を単独で撰び、『小倉百人一首』を選んだとされる。妖艶・有心の美を追求した新古今時代の代表的歌人。日記『明月記』、歌論書『近代秀歌』『毎月抄』がある。
出典
『新古今和歌集』巻第六・冬歌・671番
歌体
短歌
状況
詞書「百首の歌奉りし時」(百首歌を献上した時の歌)。

修辞

三句切れ
三句切れ。
本歌取り
長忌寸奥麻呂「苦しくも降り来る雨か三輪の崎狭野の渡りに家もあらなくに」(万葉集)をふまえる。
体言止め
体言止め。

解説

定家の代表作の一つ。万葉の雨の歌を、雪の夕暮れの絵のような情景に詠みかえた。

関連

出典

底本
『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、117頁(コマ68)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
更新日