古典ライブラリー

新古今和歌集 巻第六 冬歌 555番

散りかゝる

源経信(みなもとのつねのぶ)

散りかかる紅葉が流れない大井川。どれが井堰で、どれが水のしがらみなのか。

詞書
「後冷泉院の御時、うへのをのこども大井川にまかりて、紅葉浮水といへる心をよみ侍りける」(前の歌と同じ詞書)
作者
大納言經信(源経信)
  1. 1散ち散ちちりかゝるりかゝるりかかる初句
  2. 2紅葉もみぢ紅葉もみぢもみじ流なが流ながながれぬれぬれぬ二句
  3. 3大井おほゐ大井おほゐおおい川がは川がはがわ三句
  4. 4いづれいづれいずれ井堰ゐせき井堰ゐせきいせきののの四句
  5. 5水みづ水みづみずののの柵しがらみ柵しがらみしがらみ結句

引用の仕方

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現代語訳

散りかかる紅葉が流れない大井川。どれが井堰で、どれが水のしがらみなのか。

意訳

大井川では、散りかかった紅葉が水面をおおって流れずにとどまっている。どれが本当の井堰で、どれが紅葉でできた水のしがらみなのか、見分けがつかない。

語釈・文法注

井堰
水をせき止めて引くための堰。
しがらみ
川の流れをせき止めるため、杭に竹や木の枝を絡ませたもの。

和歌

作者
源経信(みなもとのつねのぶ) 1016–1097
源道方の子で、源俊頼の父。大納言に至り、大宰権帥として任地で没した。和歌・漢詩・管絃の三つにすぐれ、「三船の才」とたたえられた。
出典
『新古今和歌集』巻第六・冬歌・555番
歌体
短歌
状況
詞書「後冷泉院の御時、うへのをのこども大井川にまかりて、紅葉浮水といへる心をよみ侍りける」(後冷泉院の御代、殿上人たちが大井川に出かけて、「紅葉浮水(紅葉が水に浮かぶ)」という心を詠んだ歌)。

修辞

見立て
流れをせき止める紅葉を「しがらみ」に見立てる。

解説

経信の歌。前の歌と同じ時の作。

関連

出典

底本
『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、98頁(コマ59)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
更新日