新古今和歌集 巻第五 秋歌下 530番
龍田川
竜田川では、嵐が峰で弱まったのだろうか。人が渡らない水面にも、紅葉の錦が途切れていることだ。
場面イラスト(準備中)
現代語訳
〔詞書〕百首歌を献上した時の歌。
竜田川では、嵐が峰で弱まったのだろうか。人が渡らない水面にも、紅葉の錦が途切れていることだ。
意訳
竜田川の紅葉は、人が渡ると錦が途切れるといわれる。誰も渡っていないのに、川面の紅葉の錦が途切れている。峰の嵐が弱まって、紅葉が散らなくなったのだろう。
語釈・文法注
- 錦
- 紅葉を錦の織物にたとえる。
和歌
- 作者
- 宮内卿(くないきょう) 生没年未詳(十二世紀末〜十三世紀初め)
源師光の娘。後鳥羽院に仕えた女房で、若くして歌才を認められ、千五百番歌合などで活躍したが、二十歳前後で亡くなったと伝えられる。「若草の宮内卿」と呼ばれた。 - 出典
- 『新古今和歌集』巻第五・秋歌下・530番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「百首の歌奉りし時」(百首歌を献上した時の歌)。
修辞
- 本歌取り
- 「竜田川紅葉乱れて流るめり渡らば錦なかや絶えなむ」(古今集)をふまえる。
解説
宮内卿の歌。底本は初句を「龍田川」とするが、「龍田山」とする本もある。
関連
出典
- 底本
- 『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、93頁(コマ56)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日