新古今和歌集 巻第四 秋歌上 390番
更けゆかば
夜が更けていけば、塩焼く煙も消えてしまうだろう。塩竈の浦を、恨みきらないでおくれ、秋の夜の月よ。
場面イラスト(準備中)
現代語訳
〔詞書〕百首歌を献上した時の、秋の歌の中に。
夜が更けていけば、塩焼く煙も消えてしまうだろう。塩竈の浦を、恨みきらないでおくれ、秋の夜の月よ。
意訳
塩竈の浦では塩を焼く煙が立って月を曇らせている。けれども夜が更ければ煙もなくなるだろう。月よ、それまで浦を恨まないでほしい。
語釈・文法注
- 鹽竈
- 陸奥国の歌枕。塩を焼く煙で知られた。
- うらみ
- 「浦見」と「恨み」の掛詞。
和歌
- 作者
- 慈円(じえん) 1155–1225
関白藤原忠通の子で、九条兼実の弟、良経の叔父。天台座主を四度務めた。歴史書『愚管抄』を著した。率直で多彩な歌風で、『新古今和歌集』に西行に次ぐ九十二首が入る。家集に『拾玉集』がある。 - 出典
- 『新古今和歌集』巻第四・秋歌上・390番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「百首の歌奉りし時、秋の歌の中に」(百首歌を献上した時の、秋の歌の中に)。
修辞
- 掛詞
- 「うらみ」に「浦見」と「恨み」を掛ける。
- 体言止め
- 体言止め。
解説
慈円の歌。
関連
出典
- 底本
- 『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、68〜69頁(コマ44)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日