新古今和歌集 巻第三 夏歌 251番
鵜かひ舟
鵜飼い舟を、しみじみと哀れなものと見ることだ。宇治川の夕闇の空のもとで。
場面イラスト(準備中)
現代語訳
〔詞書〕摂政太政大臣(良経)の家の百首歌合で、「鵜河(鵜飼いの川)」という題で詠みました歌。
鵜飼い舟を、しみじみと哀れなものと見ることだ。宇治川の夕闇の空のもとで。
意訳
夕闇の宇治川を、鵜飼いの舟がかがり火をともして行く。鵜を使って魚をとる殺生の営みを、僧である作者はしみじみと哀れに思って眺めている。
語釈・文法注
- 鵜かひ舟
- 鵜を使って鮎などをとる舟。
- 武士の八十
- 「もののふの」は「八十(やそ)」にかかる枕詞。「八十宇治川」は宇治川のこと。
和歌
- 作者
- 慈円(じえん) 1155–1225
関白藤原忠通の子で、九条兼実の弟、良経の叔父。天台座主を四度務めた。歴史書『愚管抄』を著した。率直で多彩な歌風で、『新古今和歌集』に西行に次ぐ九十二首が入る。家集に『拾玉集』がある。 - 出典
- 『新古今和歌集』巻第三・夏歌・251番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「攝政太政大臣の家の百首の歌合に、鵜河をよみ侍りける」(摂政太政大臣(良経)の家の百首歌合で、「鵜河(鵜飼いの川)」という題で詠みました歌)。
修辞
- 枕詞
- 「武士の」が「八十(宇治川)」にかかる。
- 体言止め
- 体言止め。
解説
六百番歌合での慈円の作。仏教の殺生戒を背景に、鵜飼いの情景を哀れの目で見る。
関連
出典
- 底本
- 『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、45頁(コマ32)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日