新古今和歌集 巻第三 夏歌 224番
何ごとゝ
何がつらいのかと、物事の筋道も分からないまま、今日もなお、袂にあまるほどの泣き声は絶えないことです。
場面イラスト(準備中)
現代語訳
〔詞書〕返歌。
何がつらいのかと、物事の筋道も分からないまま、今日もなお、袂にあまるほどの泣き声は絶えないことです。
意訳
あなたと同じく、私も何がつらいということもわからないまま、今日もなお、袂からあふれるほど泣き声が絶えません。
語釈・文法注
- あやめ
- 物事の筋道、区別。「菖蒲」を掛ける。
- わかで
- 区別しないで。
- ねこそ絕えせね
- 泣き声が絶えない。「こそ」の結びで已然形。
和歌
- 作者
- 紫式部(むらさきしきぶ) 978?–1014?
藤原為時の娘。一条天皇の中宮彰子に仕え、『源氏物語』を書いた。『紫式部日記』『紫式部集』もある。 - 出典
- 『新古今和歌集』巻第三・夏歌・224番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「かへし」(返歌)。
修辞
- 掛詞
- 「あやめ」に「菖蒲」と「文目(筋道)」、「ね」に「根」と「音」を掛ける。
解説
紫式部の返歌。宮仕えの憂さを分かち合う二人の心が通う贈答。
関連
出典
- 底本
- 『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、40頁(コマ30)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日