新古今和歌集 巻第三 夏歌 223番
なべて世の
この世のつらさに流されて泣いている私のような菖蒲草の、今日までかかっているこの長い根を、あなたはどうご覧になりますか。
場面イラスト(準備中)
現代語訳
〔詞書〕局(部屋)を並べて住んでいましたころ、五月六日に一緒に夜を明かし、翌朝、長い菖蒲の根を包んで紫式部に送った歌。
この世のつらさに流されて泣いている私のような菖蒲草の、今日までかかっているこの長い根を、あなたはどうご覧になりますか。
意訳
世の中のつらさに涙を流している私の声(音)は、この長い菖蒲の根のように、今日まで絶えることがありません。あなたはどう思われますか。
語釈・文法注
- うき
- 「憂き」と、沼地を表す「泥(うき)」の掛詞。
- ね
- 「根」と「音(泣く声)」の掛詞。
和歌
- 作者
- 上東門院小少将(じょうとうもんいんのこしょうしょう) 生没年未詳(十一世紀初め)
源時通の娘。一条天皇の中宮彰子(上東門院)に仕えた女房で、紫式部と親しかった。 - 出典
- 『新古今和歌集』巻第三・夏歌・223番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「局ならびに住み侍りける頃、五月六日もろともに眺め明かして、あしたに長き根を包みて紫式部につかはしける」(局(部屋)を並べて住んでいましたころ、五月六日に一緒に夜を明かし、翌朝、長い菖蒲の根を包んで紫式部に送った歌)。
修辞
- 掛詞
- 「うき」に「憂き」と「泥」、「ね」に「根」と「音」を掛ける。
解説
作者の小少将は紫式部の親しい同僚。次の歌は紫式部の返歌。
関連
出典
- 底本
- 『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、40頁(コマ30)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日