新古今和歌集 巻第三 夏歌 177番
散りはてゝ
花がすっかり散ってしまい、花の陰もない木の下では、立ち去るのもたやすいことだ。夏衣に着替えて。
場面イラスト(準備中)
現代語訳
〔詞書〕衣替えを詠みました歌。
花がすっかり散ってしまい、花の陰もない木の下では、立ち去るのもたやすいことだ。夏衣に着替えて。
意訳
花が咲いていたころは、桜の木の下から立ち去りがたかった。花がすっかり散った今は、未練なく立ち去ることができる。ちょうど夏衣に着替える、衣替えの時でもある。
語釈・文法注
- 更衣
- 陰暦四月一日に、冬の衣から夏の衣に着替えること。
- たつ
- 「立つ(立ち去る)」と、衣を「裁つ」の掛詞。
和歌
- 作者
- 慈円(じえん) 1155–1225
関白藤原忠通の子で、九条兼実の弟、良経の叔父。天台座主を四度務めた。歴史書『愚管抄』を著した。率直で多彩な歌風で、『新古今和歌集』に西行に次ぐ九十二首が入る。家集に『拾玉集』がある。 - 出典
- 『新古今和歌集』巻第三・夏歌・177番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「更衣をよみ侍りける」(衣替えを詠みました歌)。
修辞
- 掛詞
- 「たつ」に「立つ」と(衣を)「裁つ」を掛ける。
- 縁語
- 「たつ」「夏衣」。
解説
慈円の歌。
関連
出典
- 底本
- 『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、32頁(コマ26)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日