新古今和歌集 巻第二 春歌下 138番
つらきかな
つれないことですよ。八重桜が色あせるまで、「訪ねて来て」ともおっしゃらずに過ごしていらしたお心は。
場面イラスト(準備中)
現代語訳
〔詞書〕返歌。
つれないことですよ。八重桜が色あせるまで、「訪ねて来て」ともおっしゃらずに過ごしていらしたお心は。
意訳
花がこんなに色あせるまで、訪ねて来なさいともおっしゃってくださらなかった。そのお心がつらく思われます。訪ねなかったことをわびつつ、軽く相手を恨んでみせる返歌。
語釈・文法注
- つらきかな
- つれないことよ。薄情なことよ。
- とへとも
- 訪ねて来いとも。
- いはで
- 言わないで。
和歌
- 作者
- 惟明親王(これあきらしんのう) 1179–1221
高倉天皇の皇子で、後鳥羽院の兄。出家して聖円と号した。後鳥羽院の歌壇で正治百首などに出詠した。 - 出典
- 『新古今和歌集』巻第二・春歌下・138番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「かへし」(返歌)。
修辞
- 倒置法
- 「つらきかな」の対象を、結句「過ぐる心は」で示す。
解説
惟明親王の返歌。訪れなかったのは誘いがなかったからだと、恨みを相手に返す機知の歌。
関連
出典
- 底本
- 『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、25頁(コマ22)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日