古典ライブラリー

新古今和歌集 巻第一 春歌上 95番

散り散らず

慈円(じえん)

散ったのか散らないのか、訪ねる人もいない古い里の、露に濡れた花に、春風が吹いている。

訪れる人のない古い里で、露に濡れた桜に春風が吹いている場面
訪れる人のない古い里で、露に濡れた桜に春風が吹いている場面
作者
前大僧正慈圓(慈円)
  1. 1故鄕花こきやうのはな故鄕花こきやうのはなこきょうのはなといへるといへるといえる心こころ心こころこころををを詞書
  2. 2散ち散ちちりりり散ち散ちちらずらずらず初句
  3. 3人ひと人ひとひとももも尋たづ尋たづたずねぬねぬねぬ二句
  4. 4故鄕ふるさと故鄕ふるさとふるさとののの三句
  5. 5露つゆ露つゆつゆけきけきけき花はな花はなはなににに四句
  6. 6春風はるかぜ春風はるかぜはるかぜぞふくぞふくぞふく結句

引用の仕方

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現代語訳

〔詞書〕「故郷の花」という題で詠んだ歌。

散ったのか散らないのか、訪ねる人もいない古い里の、露に濡れた花に、春風が吹いている。

意訳

古い里では、花が散ったのか、まだ咲いているのか、気にかけて訪ねてくる人もいない。その露に濡れた花に、春風だけが吹きつけている。忘れられた里の寂しさを詠む。

語釈・文法注

散り散らず
散ったか散らないか。
露けき
露に濡れた。涙を思わせる。

和歌

作者
慈円(じえん) 1155–1225
関白藤原忠通の子で、九条兼実の弟、良経の叔父。天台座主を四度務めた。歴史書『愚管抄』を著した。率直で多彩な歌風で、『新古今和歌集』に西行に次ぐ九十二首が入る。家集に『拾玉集』がある。
出典
『新古今和歌集』巻第一・春歌上・95番
歌体
短歌
状況
詞書「故鄕花といへる心を」(「故郷の花」という題で詠んだ歌)。

解説

慈円の歌。

関連

出典

底本
『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、17頁(コマ18)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
更新日