新古今和歌集 巻第一 春歌上 94番
尋ね來て
花を訪ねてきて一日を過ごした、その木の間から、待っていたわけでもない山の端の月が出てきたことだ。

現代語訳
〔詞書〕五十首歌を献上した時の歌。
花を訪ねてきて一日を過ごした、その木の間から、待っていたわけでもない山の端の月が出てきたことだ。
意訳
花を訪ねて山に入り、一日中桜の下で過ごした。日が暮れて、木の間から思いがけず山の端の月が昇ってきた。花に心をうばわれていた人が、ふと月に気づく。花と月とを一首に取り合わせる。
語釈・文法注
- 花にくらせる
- 花のもとで一日を過ごした。
- 待つとしもなき
- 特に待っていたわけでもない。「し」「も」は強意。
和歌
- 作者
- 藤原雅経(飛鳥井雅経)(ふじわらのまさつね) 1170–1221
藤原頼経の子。『新古今和歌集』の撰者の一人。蹴鞠の名手で、和歌と蹴鞠の家である飛鳥井家の祖となった。鎌倉に下って源実朝とも交わった。 - 出典
- 『新古今和歌集』巻第一・春歌上・94番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「五十首の歌奉りし時」(五十首歌を献上した時の歌)。
修辞
- 体言止め
- 「山の端の月」。
解説
雅経の歌。
関連
出典
- 底本
- 『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、17頁(コマ18)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日