新古今和歌集 巻第一 春歌上 93番
岩根ふみ
岩を踏み、重なる山々を分け入っては後にしてきて、花もいくえにも重なって、後ろの白雲のように見える。

現代語訳
〔詞書〕和歌所の歌合で、「羇旅の花」という題を詠んだ歌。
岩を踏み、重なる山々を分け入っては後にしてきて、花もいくえにも重なって、後ろの白雲のように見える。
意訳
旅の途中、岩を踏みしめていくつもの山を越えてきた。振り返ると、通り過ぎてきた山々の桜が、幾重にも重なる白雲のように見える。
語釈・文法注
- 分けすてゝ
- 分け入っては後に残して。
- いくへ
- いく重。いくえにも。
- 跡
- 通ってきた後ろ。
和歌
- 作者
- 藤原雅経(飛鳥井雅経)(ふじわらのまさつね) 1170–1221
藤原頼経の子。『新古今和歌集』の撰者の一人。蹴鞠の名手で、和歌と蹴鞠の家である飛鳥井家の祖となった。鎌倉に下って源実朝とも交わった。 - 出典
- 『新古今和歌集』巻第一・春歌上・93番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「和歌所の歌合に、覊旅花といふ事を」(和歌所の歌合で、「羇旅の花」という題を詠んだ歌)。
修辞
- 見立て
- 後に残してきた山の桜を白雲に見立てる。
- 体言止め
- 体言止め。
解説
雅経の歌。旅人の目で、越えてきた山々の花を振り返る、空間の広がりのある歌。
関連
出典
- 底本
- 『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、17頁(コマ18)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日