新古今和歌集 巻第一 春歌上 90番
しら雲の
白雲が立つ竜田山の八重桜よ。白雲と見分けがつかないのに、どれを花と見分けて折ったのだろうか。

現代語訳
〔詞書〕八重桜を折って、人が送ってきましたので詠んだ歌。
白雲が立つ竜田山の八重桜よ。白雲と見分けがつかないのに、どれを花と見分けて折ったのだろうか。
意訳
竜田山では、白雲と白い八重桜が入りまじって、どれが雲でどれが花か見分けがつかない。それなのに、あなたはどうやって花を見分けて折ってきたのだろう。贈られた花へのお礼を、機知を込めて詠む。
語釈・文法注
- しら雲の
- 白雲が「立つ」ことから「たつ田」にかかる。
- わきて
- 区別して。
- 折りけむ
- 「けむ」は過去推量。折ったのだろう。
和歌
- 作者
- 道命法師(どうみょうほうし) 974–1020
大納言藤原道綱の子で、右大将道綱母の孫。天王寺別当を務めた。読経の美声で知られ、和泉式部との交渉を伝える説話がある。中古三十六歌仙の一人。 - 出典
- 『新古今和歌集』巻第一・春歌上・90番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「八重櫻を折りて、人のつかはして侍りければ」(八重桜を折って、人が送ってきましたので詠んだ歌)。
修辞
- 見立て
- 桜を白雲に見立てる。
解説
作者の道命は藤原道綱の子で、読経の美声で知られた僧。
関連
出典
- 底本
- 『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、16頁(コマ18)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日