古典ライブラリー

新古今和歌集 巻第一 春歌上 89番

春にのみ

源公忠(みなもとのきんただ)

一年がずっと春だけであってほしい。荒れた田を何度も耕し返すように、くり返しくり返し花を見られるように。

荒れた田を返す春の里で、歌人が繰り返し咲く花へ心を寄せている場面
荒れた田を返す春の里で、歌人が繰り返し咲く花へ心を寄せている場面
詞書
「題しらず」(前の歌と同じ詞書)
作者
源公忠朝臣(源公忠)
  1. 1春はる春はるはるにのみにのみにのみ初句
  2. 2年とし年としとしはははあらなむあらなむあらなむ二句
  3. 3あらあらあら小田をだ小田をだおだををを三句
  4. 4かへす〴〵もかへす〴〵もかえすがえすも四句
  5. 5花はな花はなはなををを見み見みみるべくるべくるべく結句

引用の仕方

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現代語訳

一年がずっと春だけであってほしい。荒れた田を何度も耕し返すように、くり返しくり返し花を見られるように。

意訳

一年中が春であればよいのに。荒れた田を何度も鋤き返すように、何度でもくり返し花を見ることができるように。花を愛する心を、農作業のことばに寄せて詠む。

語釈・文法注

あらなむ
あってほしい。「なむ」は他に対する願望。
あら小田をかへす
荒れた田を鋤き返す。「かへす〴〵」を導く。
かへす〴〵
くり返し。

和歌

作者
源公忠(みなもとのきんただ) 889–948
光孝天皇の孫。右大弁に至った。醍醐・朱雀天皇に仕え、鷹狩や香の調合にもすぐれた。三十六歌仙の一人。
出典
『新古今和歌集』巻第一・春歌上・89番
歌体
短歌
状況
題しらず(詠まれた事情は伝わらない)。

修辞

序詞
「あら小田を」が「かへす〴〵」を導く。

解説

作者の公忠は醍醐・朱雀天皇に仕えた歌人。

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出典

底本
『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、16頁(コマ18)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
更新日