古典ライブラリー

新古今和歌集 巻第一 春歌上 79番

吉野山

西行法師(さいぎょうほうし)

吉野山の桜の枝に雪が散りかかって、花の咲くのが遅くなりそうな年であることだなあ。

吉野山のまだ咲かない桜の枝に雪が散りかかり、花の時を遅らせている場面
吉野山のまだ咲かない桜の枝に雪が散りかかり、花の時を遅らせている場面
詞書
「題しらず」(前の歌と同じ詞書)
作者
西行法師
  1. 1吉野山よしのやま吉野山よしのやまよしのやま初句
  2. 2櫻さくら櫻さくらさくらののの枝えだ枝えだえだににに二句
  3. 3雪ゆき雪ゆきゆきちりてちりてちりて三句
  4. 4花はな花はなはな遲おそ遲おそおそげなるげなるげなる四句
  5. 5年とし年としとしにもあるかなにもあるかなにもあるかな結句

引用の仕方

レポート・論文で引用する場合の表記例です。行番号を選んでから開くと、その行へのリンクになります。

現代語訳

吉野山の桜の枝に雪が散りかかって、花の咲くのが遅くなりそうな年であることだなあ。

意訳

吉野山では、春になっても桜の枝に雪が降りかかっている。今年は花の咲くのが遅れそうだ。花を待ちわびる西行の心がうかがえる。

語釈・文法注

遲げなる
遅そうな。「げ」は様子を表す接尾語。
あるかな
「かな」は詠嘆の終助詞。

和歌

作者
西行法師(さいぎょうほうし) 1118–1190
俗名は佐藤義清(のりきよ)。鳥羽院の北面の武士だったが、二十三歳で出家し、諸国を旅して歌を詠んだ。自然と人生の哀感を率直に詠み、『新古今和歌集』に最も多い九十四首が入る。家集に『山家集』がある。
出典
『新古今和歌集』巻第一・春歌上・79番
歌体
短歌
状況
題しらず(詠まれた事情は伝わらない)。

解説

西行の歌。桜をこよなく愛した西行には、吉野山の花を詠んだ歌が多い。

関連

出典

底本
『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、15頁(コマ17)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
更新日