新古今和歌集 巻第一 春歌上 71番
嵐ふく
嵐が吹く岸の柳の枝が、水面に稲むしろを敷いたように垂れ、それを折り重なって寄せる波にまかせて眺めることだ。

現代語訳
〔詞書〕百首歌の中に詠んだ歌。
嵐が吹く岸の柳の枝が、水面に稲むしろを敷いたように垂れ、それを折り重なって寄せる波にまかせて眺めることだ。
意訳
嵐の吹く川岸で、柳の枝が水面になびき、まるで稲むしろを敷いたかのように見える。寄せては返す波が、その枝を折り敷くように揺らすのを、なすがままにして眺めている。
語釈・文法注
- 稻むしろ
- 稲わらで編んだ敷物。ここでは水面に垂れて広がる柳の枝のたとえ。「川」の縁で用いられた。
- 折りしく
- 折り重ねて敷く。
和歌
- 作者
- 崇徳院(すとくいん) 1119–1164
第七十五代天皇。保元の乱(1156)に敗れて讃岐に配流され、その地で没した。和歌を好み、『久安百首』を詠進させ、六番目の勅撰集『詞花和歌集』の撰集を命じた。 - 出典
- 『新古今和歌集』巻第一・春歌上・71番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「百首の歌の中に」(百首歌の中に詠んだ歌)。
修辞
- 見立て
- 水面になびく柳の枝を、稲むしろに見立てる。
解説
崇徳院の『久安百首』での作。
関連
出典
- 底本
- 『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、13頁(コマ16)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日