新古今和歌集 巻第一 春歌上 60番
故鄕に
故郷に帰る雁が、夜がふけて、雲の中の道に迷っているような声が聞こえる。

現代語訳
故郷に帰る雁が、夜がふけて、雲の中の道に迷っているような声が聞こえる。
意訳
夜ふけの空から、北の故郷へ帰る雁の声が聞こえてくる。暗い雲の中で道に迷っているかのようなその声が、聞く人の心にしみる。
語釈・文法注
- 雁がね
- 雁の鳴き声。また雁そのもの。
- 小夜
- 夜。「さ」は接頭語。
- 雲路
- 雲の中の道。鳥の飛ぶ空の道。
- 聞ゆなり
- 「なり」は音による推定。聞こえるようだ。
和歌
- 作者
- 読人しらず(よみびとしらず)
作者の名が伝わらない歌。『新古今和歌集』では、『万葉集』の歌や古い歌集から採った歌、伝承の歌などが多い。 - 出典
- 『新古今和歌集』巻第一・春歌上・60番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 題しらず(詠まれた事情は伝わらない)。
解説
作者の名が伝わらない古い歌。闇夜に帰っていく雁の声に、旅の心細さを重ねている。
関連
出典
- 底本
- 『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、11頁(コマ15)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日