新古今和歌集 巻第一 春歌上 57番
難波潟
難波潟では、霞むはずのない波までもが霞んで見えることだ。水に映る月の影までも曇って見える、おぼろ月夜の中で。

現代語訳
〔詞書〕百首歌を献上した時の歌。
難波潟では、霞むはずのない波までもが霞んで見えることだ。水に映る月の影までも曇って見える、おぼろ月夜の中で。
意訳
本来は霞むことのない波までもが、今夜は霞んで見える。それは、水面に映った月の影までも曇らせる、おぼろ月夜のためだった。空も海もかすむ春の夜の難波の海を描く。
語釈・文法注
- 難波潟
- 摂津国の難波の入り江。干潟。
- うつるも曇る
- 水面に映る月の光も曇っている。
和歌
- 作者
- 源具親(みなもとのともちか) 生没年未詳(十二世紀末〜十三世紀前半)
源師光の子で、宮内卿の兄。和歌所の寄人として、後鳥羽院の歌壇で千五百番歌合などに出詠した。 - 出典
- 『新古今和歌集』巻第一・春歌上・57番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「百首の歌奉りし時」(百首歌を献上した時の歌)。
修辞
- 三句切れ・倒置法
- 「霞みけり」で切り、その理由を下の句で示す。
解説
作者の具親は宮内卿の兄。
関連
出典
- 底本
- 『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、11頁(コマ15)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日