新古今和歌集 巻第一 春歌上 50番
梅ちらす
梅の花を散らす風が、垣根を越えて吹いてきたのだろうか。香りのする雪が、袖に乱れ散っている。

現代語訳
〔詞書〕「二月の雪、衣に落つ」という題を詠みました歌。
梅の花を散らす風が、垣根を越えて吹いてきたのだろうか。香りのする雪が、袖に乱れ散っている。
意訳
袖に降りかかる雪から、梅の香りがする。きっと梅の花を散らした風が、ここまで越えて吹いてきて、花びらまじりの雪を運んできたのだろう。香る雪という発想で、梅と雪をとけあわせる。
語釈・文法注
- 越えてや
- 「や」は疑問の係助詞で、「つらむ」が結び。
- 薰れる雪
- 香っている雪。梅の香が移った雪。
- 亂るゝ
- 乱れ散る。連体形で止めて余情を残す。
和歌
- 作者
- 康資王母(やすすけおうのはは) 生没年未詳(十一世紀)
伯耆守高階成順の娘で、母は伊勢大輔。神祇伯延信王の妻となり、康資王を産んだ。後冷泉天皇の皇后寛子に仕えた。 - 出典
- 『新古今和歌集』巻第一・春歌上・50番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「二月雪落衣といふことをよみ侍りける」(「二月の雪、衣に落つ」という題を詠みました歌)。
解説
作者の康資王母は伊勢大輔の娘。漢詩の句にもとづく題で詠んだ歌である。
関連
出典
- 底本
- 『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、9頁(コマ14)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日