新古今和歌集 巻第一 春歌上 39番
知るらめや
知っているだろうか。霞んだ空を眺めながら、花も咲き匂わない春を嘆いているということを。

現代語訳
〔詞書〕二月まで梅の花が咲かなかった年に詠んだ歌。
知っているだろうか。霞んだ空を眺めながら、花も咲き匂わない春を嘆いているということを。
意訳
暦は春になって空は霞んでいるのに、梅の花はまだ咲かない。その寂しさを嘆いている自分の気持ちを、花は知っているだろうか、と問いかける。
語釈・文法注
- きさらぎ
- 陰暦の二月。
- 知るらめや
- 「らめ」は現在推量の助動詞「らむ」の已然形、「や」は反語。知っているだろうか、いや知るまい。
- 匂はぬ
- 咲き映えない。「匂ふ」は色が美しく映える意。
和歌
- 作者
- 中務(なかつかさ) 912?–991?
宇多天皇の皇子敦慶親王と歌人伊勢の娘。村上天皇の時代の歌壇で活躍した。三十六歌仙の一人。 - 出典
- 『新古今和歌集』巻第一・春歌上・39番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「きさらぎまで梅の花さき侍らざりける年よみ侍りける」(二月まで梅の花が咲かなかった年に詠んだ歌)。
修辞
- 倒置法
- 初句の「知るらめや」の内容を、下の句で示す。
解説
作者の中務は伊勢の娘で、村上天皇の時代の歌人。
関連
出典
- 底本
- 『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、7〜8頁(コマ13)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日