新古今和歌集 巻第一 春歌上 31番
鶯の
鶯の涙が凍ったつららも解けて、鶯は古巣にいながら春を知るのだろうか。

現代語訳
〔詞書〕百首歌を献上した時の歌。
鶯の涙が凍ったつららも解けて、鶯は古巣にいながら春を知るのだろうか。
意訳
冬の間、鶯の涙はつららとなって凍っていた。それが解けはじめた今、鶯はまだ古巣にこもったままでも、春の訪れを感じ取っているのだろう。鶯の「涙のつらら」という大胆な表現に、春を待つ心をこめる。
語釈・文法注
- 淚のつらゝ
- 鶯が冬の寒さに流した涙が凍ってできたつらら。
- 打とけて
- 「解けて」と、心がうちとける意を重ねる。
- ふるすながらや
- 古巣にいたままで。「や」は疑問の係助詞で、「らむ」が連体形の結び。
和歌
- 作者
- 惟明親王(これあきらしんのう) 1179–1221
高倉天皇の皇子で、後鳥羽院の兄。出家して聖円と号した。後鳥羽院の歌壇で正治百首などに出詠した。 - 出典
- 『新古今和歌集』巻第一・春歌上・31番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「百首の歌奉りしとき」(百首歌を献上した時の歌)。
修辞
- 本歌取り
- 『古今和歌集』の「雪のうちに春は来にけり鶯のこほれる涙今やとくらむ」(二条后)をふまえる。
解説
古今集の「鶯のこほれる涙」を「涙のつらら」と言い換え、さらに大胆な表現にしている。
関連
出典
- 底本
- 『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、6頁(コマ13)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日