古典ライブラリー

新古今和歌集 巻第一 春歌上 26番

夕月夜

藤原秀能(ふじわらのひでよし)

夕月の出る夕べ、潮が満ちてくるらしい。難波江の蘆の若葉を越えていく白波よ。

夕月の出る難波江で、満ちてきた潮の白波が蘆の若葉を越えている場面
夕月の出る難波江で、満ちてきた潮の白波が蘆の若葉を越えている場面
詞書
「詩を作らせて歌に合せ侍りしに、水鄕春望といふことを」(前の歌と同じ詞書)
作者
藤原秀能
  1. 1夕月夜ゆふづくよ夕月夜ゆふづくよゆうづくよ初句
  2. 2汐しほ汐しほしおみちくらしみちくらしみちくらし二句
  3. 3難波なには難波なにはなにわ江え江ええののの三句
  4. 4蘆あし蘆あしあしのわかのわかのわか葉ば葉ばばををを四句
  5. 5こゆるこゆるこゆる白浪しらなみ白浪しらなみしらなみ結句

引用の仕方

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現代語訳

夕月の出る夕べ、潮が満ちてくるらしい。難波江の蘆の若葉を越えていく白波よ。

意訳

夕月の光の下、難波江では潮が満ちてきたらしい。蘆の若葉を白波が越えていくのが見える。月の光と白い波、春の若葉を一首にまとめた、絵画的な夕暮れの海辺の景色。

語釈・文法注

夕月夜
夕方に出ている月。また、その夕べ。
みちくらし
「らし」は根拠のある推量。満ちてくるらしい。
難波江
摂津国の難波の入り江。蘆の名所。

和歌

作者
藤原秀能(ふじわらのひでよし) 1184–1240
後鳥羽院の北面・西面の武士。和歌所の寄人として院に重んじられた。承久の乱で院方として戦い、のち出家して如願と号した。
出典
『新古今和歌集』巻第一・春歌上・26番
歌体
短歌
状況
詞書「詩を作らせて歌に合せ侍りしに、水鄕春望といふことを」(漢詩を作らせて和歌と合わせました時に、「水郷の春望」という題で詠んだ歌)。

修辞

体言止め
「こゆる白浪」。

解説

同じく「元久詩歌合」での作。作者の秀能は後鳥羽院に仕えた武士の歌人。底本は第四句を「わか葉を」とするが、「わか葉に」とする本もある。

関連

出典

底本
『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、5頁(コマ12)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
更新日