新古今和歌集 巻第一 春歌上 25番
みしま江や
三島江よ。霜もまだ乾かない蘆の葉に、新芽が角のように芽ぐむほどの春風が吹いている。

現代語訳
〔詞書〕漢詩を作らせて和歌と合わせました時に、「水郷の春望」という題で詠んだ歌。
三島江よ。霜もまだ乾かない蘆の葉に、新芽が角のように芽ぐむほどの春風が吹いている。
意訳
摂津の三島江では、蘆の葉に置いた霜がまだ乾かない。それでも、蘆の新しい芽が角のように萌え出すほどの、暖かい春風が吹いてきた。水辺の早春の風景を、細かな観察でとらえる。
語釈・文法注
- 三島江
- 摂津国(大阪府高槻市あたり)の淀川沿いの入り江。蘆の名所。
- ひぬ
- 「干(ひ)」に打消の「ぬ」。乾かない。
- 角ぐむ
- 蘆などの新芽が角のように出ること。
和歌
- 作者
- 源通光(みなもとのみちてる) 1187–1248
内大臣源通親の子で、通具の弟。太政大臣に至った。後鳥羽院の歌壇で活躍し、千五百番歌合などに出詠した。 - 出典
- 『新古今和歌集』巻第一・春歌上・25番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「詩を作らせて歌に合せ侍りしに、水鄕春望といふことを」(漢詩を作らせて和歌と合わせました時に、「水郷の春望」という題で詠んだ歌)。
解説
元久二年(1205)の「元久詩歌合」での作。漢詩と和歌を同じ題で合わせる催しで、「水郷春望」はその題。
関連
出典
- 底本
- 『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、5頁(コマ12)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日