古典ライブラリー

万葉集 巻第二十 4478番

佐保河に 凍り渡れる

大原桜井(おおはらのさくらい)

大原桜井が佐保川のほとりを行った時に作った歌。佐保川に一面に張った薄氷のような薄い心を、私は持ってはいないのにという歌。

一面に薄氷の張った冬の佐保川

題詞大原櫻井眞人、佐保川の邊を行きし時作れる歌一首

  1. 1佐保河さほがは佐保河さほがはさほがわににに佐保河波爾
  2. 2凍こほ凍こほこおりりり渡わた渡わたわたれれれるるる許保里和多禮流
  3. 3薄氷うすらひ薄氷うすらひうすらいののの宇須良婢乃
  4. 4うすきうすきうすき心こころ心こころこころををを宇須伎許己呂乎
  5. 5我わ我わわがががおもはおもはおもわなくなくなくににに和我於毛波奈久爾

引用の仕方

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現代語訳

佐保川に一面に張り渡した薄氷のように、薄い心を私は持ってはいないのに。

意訳

冬の佐保川の薄氷を見て、自分の思いはあんな薄いものではないと、相手への深い心を訴えた歌である。

語釈・文法注

文法・本文

凍り渡れる
一面に凍っている。
薄氷
「うすらひ」。薄い氷。
おもはなくに
思わないのに。

和歌

作者
大原桜井(生没年未詳(八世紀前半))
桜井王のこと。のち大原真人の姓を賜った。遠江守などを務めた。
出典
『万葉集』巻第二十・部立なし・4478番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第4期(733〜759年(〜万葉集の最後の歌))
状況
大原桜井が佐保川のほとりを通った時に作った歌。

修辞

序詞
「佐保河に凍り渡れる薄氷の」が同音で「うすき」を導く。

解説

大原桜井は、もと桜井王といい、のち大原真人の姓を賜った。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』下巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、747頁(コマ166)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』下巻 岩波書店、昭和5年(1930)、883頁(コマ205)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日