古典ライブラリー

万葉集 巻第二十 4477番

夕霧に 千鳥の鳴きし

円方女王(まとかたのおおきみ)

智努女王が亡くなった後、円方女王が悲しんで作った歌。夕霧の中で千鳥が鳴いていた佐保の道を、荒れるにまかせてしまうのだろうか、もうお会いするすべもないのでという歌。

夕霧の立ちこめる佐保の道と千鳥

題詞智努女王の卒りし後、圓方女王の悲しみ傷みて作れる歌一首

  1. 1夕霧ゆふぎり夕霧ゆふぎりゆうぎりににに由布義理爾
  2. 2千鳥ちどり千鳥ちどりちどりののの鳴な鳴ななきききししし知杼里乃奈吉志
  3. 3佐保道さほぢ佐保道さほぢさほじをををばばば佐保治乎婆
  4. 4荒あら荒あらあらしししやややしししてててむむん安良之也之弖牟
  5. 5見み見みみるるるよしよしよしををを無な無ななみみみ美流與之乎奈美

引用の仕方

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現代語訳

夕霧の中で千鳥が鳴いていた佐保の道を、荒れるにまかせてしまうのだろうか。もうお会いするすべもないので。

意訳

亡き智努女王のもとへ通った佐保の道も、訪ねる人がいなくなれば荒れてしまうと嘆いた挽歌である。

語釈・文法注

文法・本文

卒りし
「みまかりし」。亡くなった。
荒らしやしてむ
荒らしてしまうのだろうか。
見るよしを無み
会うすべがないので。

和歌

作者
円方女王(?–774)
長屋王の娘。巻二十に、宴の席で詠んだ歌を残す。
出典
『万葉集』巻第二十・部立なし・4477番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第4期(733〜759年(〜万葉集の最後の歌))
状況
智努女王の死後、円方女王が悲しんで作った歌。

修辞

ミ語法
「よしを無み」。

解説

智努女王・円方女王は、ともに長屋王の娘とされる。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』下巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、747頁(コマ166)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』下巻 岩波書店、昭和5年(1930)、883頁(コマ205)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日