古典ライブラリー

万葉集 巻第二十 4475〜4476番

初雪は 千重に降りしけ

大原今城(おおはらのいまき)

天平勝宝8年11月23日、式部少丞大伴池主の家に集まって酒宴をした時の大原今城の歌二首。初雪よ幾重にも降り積もれ、恋しさの多い私は見ながら偲ぼうという歌、奥山の樒の花の名のように、しきりにあなたを恋い続けるのだろうかという歌。

初雪の降り積もる冬の庭

題詞二十三日、式部少丞大伴宿禰池主の宅に集ひて飮宴せる歌二首

  1. 1初雪はつゆき初雪はつゆきはつゆきははは波都由伎波4475
  2. 2千重ちへ千重ちへちえににに降ふ降ふふりりりしけしけしけ知敝爾布里之家
  3. 3戀こひ戀こひこいしくしくしくののの故非之久能
  4. 4多おほ多おほおおかるかるかる吾われ吾われわれははは於保加流和禮波
  5. 5見み見みみつつつつつつ偲しぬ偲しぬしぬばばばむむん美都都之努波牟
  6. 6奧山おくやま奧山おくやまおくやまののの於久夜麻能4476
  7. 7樒しきみ樒しきみしきみががが花はな花はなはなののの之伎美我波奈能
  8. 8名な名ななののの如ごと如ごとごとややや奈能其等也
  9. 9しくしくしくしくしくしく君きみ君きみきみににに之久之久伎美爾
  10. 10戀こ戀ここひひいわたりわたりわたりなななむむん故非和多利奈無

引用の仕方

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現代語訳

〔4475〕初雪よ、幾重にも降り積もれ。恋しく思うことの多い私は、それを見ながら偲ぼう。

〔4476〕奥山の樒の花の名のように、しきりに、しきりにあなたを恋い続けることだろうか。

意訳

池主の家の宴で、降る初雪に寄せて人を思う心を詠み、樒の「しき」から「しくしく」と続けて、主人への親しみを表した歌である。

語釈・文法注

文法・本文

降りしけ
降り積もれ。
戀しくの
恋しく思うことの。
樒
「しきみ」。山に生える常緑樹。
名の如や
名のように。
しくしく
しきりに、絶え間なく。

和歌

作者
大原今城(生没年未詳)
奈良時代の官人。大伴家持と親しかった。
出典
『万葉集』巻第二十・部立なし・4475〜4476番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第4期(733〜759年(〜万葉集の最後の歌))
状況
11月23日、大伴池主の家での酒宴で大原今城が詠んだ歌。

修辞

序詞
4476番の「奧山の樒が花の名の如や」が同音で「しくしく」を導く。

解説

大伴池主は家持の越中時代からの友人。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』下巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、747頁(コマ166)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』下巻 岩波書店、昭和5年(1930)、882頁(コマ205)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日