古典ライブラリー

万葉集 巻第二十 4472〜4473番

大君の 命かしこみ

作者未詳

天平勝宝8年11月8日、讃岐守安宿王たちが出雲掾安宿奈杼麻呂の家に集まって宴をした時の歌二首。大君の命令を恐れ謹んで、於保の浦を後ろに見ながら都へ上るという奈杼麻呂の歌、都の人に告げたいことは、以前お会いした日のように元気でいると伝えてほしいという出雲守山背王の歌。

海辺の浦を後にして都へ向かう官人

題詞八日、讃岐守安宿王等、出雲掾安宿奈杼麻呂の家に集ひて宴せる歌二首

  1. 1大君おほきみ大君おほきみおおきみののの於保吉美乃4472 安宿奈杼麻呂
  2. 2命みこと命みことみことかしこみかしこみかしこみ美許等加之古美
  3. 3於保おほ於保おほおおののの浦うら浦うらうらををを於保乃宇良乎
  4. 4背向そがひ背向そがひそがいににに見み見みみつつつつつつ曾我比爾美都々
  5. 5都みやこ都みやこみやこへへえ上のぼ上のぼのぼるるる美也古敝能保流
  6. 6うちうちうち日ひ日ひひさすさすさす宇知比左須4473 山背王
  7. 7都みやこ都みやこみやこののの人ひと人ひとひとににに美也古乃比等爾
  8. 8告つ告つつげげげまくまくまくははは都氣麻久波
  9. 9見み見みみししし日ひ日ひひののの如ごと如ごとごとくくく美之比乃其等久
  10. 10在あ在あありりりととと告つ告つつげげげこそこそこそ安里等都氣己曾

引用の仕方

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現代語訳

〔4472〕大君のご命令を恐れ謹んで、於保の浦を後ろに見ながら、都へ上って行く。

〔4473〕(うち日さす)都の人に告げてほしいことは、以前お会いした日のとおりに元気でいると、伝えてほしい。

意訳

朝集使として都へ上る奈杼麻呂を送る宴で、奈杼麻呂は任地を離れる思いを、国守の山背王は都の人々への言づてを詠んだ。

語釈・文法注

文法・本文

於保の浦
出雲国の浦の名か。
背向に
「そがひに」。後ろの方に。
うち日さす
「都」にかかる枕詞。
告げまくは
告げることは。
告げこそ
告げてほしい。

和歌

作者
作者未詳
出典
『万葉集』巻第二十・部立なし・4472〜4473番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第4期(733〜759年(〜万葉集の最後の歌))
状況
天平勝宝8年11月8日、朝集使として都へ上る出雲掾安宿奈杼麻呂を送る宴の歌。

修辞

枕詞
「うち日さす」が「都」にかかる。

解説

山背王は長屋王の子で、のち藤原弟貞と名を改めた。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』下巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、746頁(コマ166)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』下巻 岩波書店、昭和5年(1930)、881頁(コマ204)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日