古典ライブラリー

万葉集 巻第二十 4454番

高山の 巖に生ふる

橘諸兄(たちばなのもろえ)

11月28日、左大臣橘諸兄が子の兵部卿橘奈良麻呂の家に集まって宴をした時の諸兄の歌。高い山の岩に生える菅の根のように、念入りにびっしりと降り積もった白雪よという歌。

高い山の岩肌に降り積もった白雪

題詞十一月二十八日、左大臣、兵部卿橘奈良麻呂朝臣の宅に集ひて宴せる歌一首

  1. 1高山たかやま高山たかやまたかやまののの高山乃
  2. 2巖いはほ巖いはほいわおににに生お生おおふふうるるる伊波保爾於布流
  3. 3菅すが菅すがすがののの根ね根ねねののの須我乃根能
  4. 4ねもころごろねもころごろねもころごろににに禰母許呂其呂爾
  5. 5降ふ降ふふりりり置お置おおくくく白雪しらゆき白雪しらゆきしらゆき布里於久白雪

引用の仕方

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現代語訳

高い山の岩に生える菅の根のように、念入りに、びっしりと降り積もった白雪よ。

意訳

雪の降り積もるさまを、菅の根の「ね」から「ねもころごろ」と続けて、心をこめた宴の喜びを重ねた歌である。

語釈・文法注

文法・本文

巖
「いはほ」。大きな岩。
ねもころごろに
念入りに、ねんごろに。

和歌

作者
橘諸兄(684–757)
はじめ葛城王といい、母は県犬養三千代。臣籍に降って橘の姓を継ぎ、左大臣として聖武朝の政治を担った。大伴家持と親しく、『万葉集』の成立にかかわったとする説もある。
出典
『万葉集』巻第二十・部立なし・4454番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第4期(733〜759年(〜万葉集の最後の歌))
状況
11月28日、橘奈良麻呂の家での宴で、左大臣橘諸兄が詠んだ歌。

修辞

序詞
「高山の巖に生ふる菅の根の」が同音で「ねもころごろに」を導く。

解説

橘諸兄の歌は、万葉集に数首が残る。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』下巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、742頁(コマ164)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』下巻 岩波書店、昭和5年(1930)、877頁(コマ202)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日