万葉集 巻第二十 4452〜4453番
をとめらが 玉裳裾びく
天平勝宝7年8月13日、内裏の南の安殿で天皇が宴を催した時の歌二首。おとめたちが美しい裳の裾を引くこの庭に、秋風が吹いて花が散っているという安宿王の歌、秋風が吹きしごいて散り敷いた花の庭は、清らかな月夜に見ても見飽きないという大伴家持の歌。
場面イラスト(準備中)
題詞八月十三日、内の南の安殿に在して肆宴きこしめす歌二首
現代語訳
〔4452〕おとめたちが美しい裳の裾を引いて歩くこの庭に、秋風が吹いて、花が散り続けている。
〔4453〕秋風が吹きしごいて散り敷いた花の庭は、清らかな月夜に見ても、見飽きることがない。
意訳
宮中の秋の宴で、女官たちの華やかな姿と散る花、月光に照らされた花の庭の美しさをたたえた歌である。
語釈・文法注
文法・本文
- 安殿
- 「やすみどの」。内裏の殿舎。
- 肆宴
- 「とよのあかり」。天皇の催す宴。
- 玉裳
- 美しい裳。
- 裾びく
- 裾を引く。
- 吹き扱き敷ける
- 吹きしごいて散り敷いた。
- 未だ奏せず
- 用意したが奏上しなかった。
和歌
- 作者
- 作者未詳
- 出典
- 『万葉集』巻第二十・部立なし・4452〜4453番
- 歌体
- 短歌(五七五七七)
- 時期
- 第4期(733〜759年(〜万葉集の最後の歌))
- 状況
- 8月13日、孝謙天皇が内裏の南の安殿で催した宴の歌。
修辞
- 対照
- 散る花と、散り敷いた花の庭を詠み継ぐ。
解説
家持は宴のために歌を用意しながら、奏上の機会がなかった歌を多く記している。
関連
出典
- 底本
- 佐佐木信綱編『新訓万葉集』下巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、742頁(コマ164)。国立国会図書館デジタルコレクション
- 原文
- 佐佐木信綱編『白文万葉集』下巻 岩波書店、昭和5年(1930)、876頁(コマ202)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部
- 更新日