万葉集 巻第二十 4440〜4441番
足柄の 八重山越えて
上総国の朝集使として大原今城が都へ向かった時、郡司の妻女たちが送別の宴で詠んだ歌二首。足柄の幾重もの山を越えて行ってしまわれたら、誰をあなたと思って偲べばよいのかという歌、すらりと立つあなたの姿を忘れずに、一生恋い続けるのだろうかという歌。
場面イラスト(準備中)
題詞上總國の朝集使大掾大原眞人今城、京に向ひし時、郡司の妻女等の餞せる歌二首
現代語訳
〔4440〕足柄の幾重にも重なる山を越えて行ってしまわれたら、誰をあなたと思って見ながら偲べばよいのでしょう。
〔4441〕すらりと立つあなたの姿を忘れずに、私は一生の限り恋い続けることになるのでしょうか。
意訳
都へ上る国司の役人を送る宴で、土地の女性たちが別れを惜しんだ歌である。
語釈・文法注
文法・本文
- 朝集使
- 国の政務を報告するため、毎年都へ上る使者。
- いましなば
- 行ってしまわれたら。
- 立ちしなふ
- すらりとしなやかに立つ。
- 世のかぎりにや
- 一生の限り……だろうか。
和歌
- 作者
- 作者未詳
- 出典
- 『万葉集』巻第二十・部立なし・4440〜4441番
- 歌体
- 短歌(五七五七七)
- 時期
- 第4期(733〜759年(〜万葉集の最後の歌))
- 状況
- 上総国の大掾大原今城が朝集使として都へ向かう時の送別の宴で、郡司の妻女たちが詠んだ歌。
修辞
- 問いかけ
- 「誰をか君と見つつ偲ばむ」。
解説
大原今城は、この後都で家持たちと交わり、伝え聞いた歌を家持に伝えている。
関連
出典
- 底本
- 佐佐木信綱編『新訓万葉集』下巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、740頁(コマ163)。国立国会図書館デジタルコレクション
- 原文
- 佐佐木信綱編『白文万葉集』下巻 岩波書店、昭和5年(1930)、874頁(コマ201)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部
- 更新日