古典ライブラリー

万葉集 巻第二十 4438番

ほととぎす 此處に近くを

薩妙観(さつのみょうかん)

元正天皇の御歌に、詔に応じて薩妙観が答えた歌。ほととぎすよ、ここの近くに来て鳴いておくれ、季節が過ぎてしまった後では甲斐があろうかという歌。

宮殿の近くの木に止まって鳴くほととぎす

題詞薩妙觀、詔に應じて和へ奉れる歌一首

  1. 1ほととぎすほととぎすほととぎす保等登藝須
  2. 2此處ここ此處ここここににに近ちか近ちかちかくくくををを許許爾知可久乎
  3. 3來き來きき鳴な鳴ななきききてててよよよ伎奈伎弖余
  4. 4過す過すすぎぎぎなななむむん後のち後のちのちににに須疑奈無能知爾
  5. 5しるししるししるしあらあらあらめめめやもやもやも之流志安良米夜母

引用の仕方

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現代語訳

ほととぎすよ、ここの近くに来て鳴いておくれ。季節が過ぎてしまった後では、何の甲斐があろうか。

意訳

元正天皇の御歌に応えて、ほととぎすに今すぐ近くで鳴くよう呼びかけた歌である。

語釈・文法注

文法・本文

來鳴きてよ
来て鳴いておくれ。
しるしあらめやも
甲斐があろうか、ありはしない。

和歌

作者
薩妙観(生没年未詳(八世紀))
宮中に仕えた女官(命婦)。渡来系の人で、のちに河上忌寸の姓を賜った。巻二十に、元正太上天皇の命に応えて詠んだ歌を残す。
出典
『万葉集』巻第二十・部立なし・4438番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第3期(710〜733年(平城京遷都〜山上憶良の没年ごろ))
状況
元正天皇の詔に応じて、薩妙観が答えた歌。

修辞

反語
「しるしあらめやも」。

解説

薩妙観は元正天皇に仕えた女官。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』下巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、739頁(コマ162)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』下巻 岩波書店、昭和5年(1930)、873頁(コマ200)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日