古典ライブラリー

万葉集 巻第十九 4288番

河渚にも 雪は降れれし

大伴家持(おおとものやかもち)

天平勝宝5年正月12日、宮中に伺候していて千鳥の鳴くのを聞いた大伴家持が詠んだ歌。川の洲にも雪が降っているので、宮の中で千鳥が鳴いている、居場所がないのでという歌。

雪の宮中に飛び来て鳴く千鳥

題詞十二日、內裏に侍ひて千鳥の喧くを聞きて作れる歌一首

  1. 1河渚かはす河渚かはすかわすにににももも河渚爾母
  2. 2雪ゆき雪ゆきゆきははは降ふ降ふふれれれれれれししし雪波布禮禮之
  3. 3宮みや宮みやみやののの裏うち裏うちうちににに宮裏
  4. 4千鳥ちどり千鳥ちどりちどり鳴な鳴ななくくくらしらしらし智杼利鳴良之
  5. 5居ゐ居ゐいむむむ所ところ所ところところ無な無ななみみみ爲牟等己呂奈美

引用の仕方

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現代語訳

川の洲にも雪が降っているので、宮の中で千鳥が鳴いているらしい。居場所がないので。

意訳

いつもは川の洲にいる千鳥が、雪に居場所を失って宮中まで飛んで来て鳴いていると推し量った歌である。

語釈・文法注

文法・本文

河渚
「かはす」。川の中の洲。
降れれし
降っているので。
居む所無み
居る場所がないので。

和歌

作者
大伴家持(718?–785)
大伴旅人の子。越中守・少納言・兵部少輔などを歴任し、晩年は中納言に至った。万葉集に最も多くの歌を残した歌人で、その編纂にも深く関わったとされる。繊細で感傷的な歌風は、万葉集の第4期を代表する。百人一首の第6首の作者でもある。
出典
『万葉集』巻第十九・部立なし・4288番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第4期(733〜759年(〜万葉集の最後の歌))
状況
天平勝宝5年正月12日、宮中で千鳥の声を聞いて大伴家持が詠んだ歌。

修辞

推量
千鳥の鳴く理由を推し量る。

解説

前日の大雪の歌に続く。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』下巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、706頁(コマ146)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』下巻 岩波書店、昭和5年(1930)、833頁(コマ180)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日