古典ライブラリー

万葉集 巻第十九 4247番

天雲の 遠隔の極

阿倍老人(あべのおきな)

天平5年、唐に遣わされる阿倍老人が、母に奉った別れの歌。天雲の果てるところまでも、私が思っているあなたに別れる日が近くなったという歌。

母の前で別れを告げる若い遣唐使

題詞阿倍朝臣老人、唐に遣さるる時、母に奉れる悲別の歌一首

  1. 1天あま天あまあま雲くも雲くもくもののの天雲能
  2. 2遠隔そきへ遠隔そきへそきえののの極きはみ極きはみきわみ曾伎敝能伎波美
  3. 3わわわががが念おも念おもおもへへえるるる吾念有
  4. 4君きみ君きみきみににに別わか別わかわかれれれむむん伎美爾將別
  5. 5日ひ日ひひ近ちか近ちかちかくくくなりなりなりぬぬぬ日近成奴

引用の仕方

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現代語訳

天雲の遠く隔たる果てまでも、私が思っているあなたに別れる日が、近くなってしまった。

意訳

唐へ旅立つ若者が、天雲の果てまでも慕う母と別れる日の近いことを嘆いた歌である。

語釈・文法注

文法・本文

遠隔の極
「そきへのきはみ」。遠く隔たった果て。

和歌

作者
阿倍老人(生没年未詳(八世紀中頃))
遣唐使の一行に加わった人。巻十九に、唐に渡るにあたって母に贈った歌を残す。
出典
『万葉集』巻第十九・部立なし・4247番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第2期(672〜710年(壬申の乱〜平城京遷都))
状況
天平5年、遣唐使として唐に遣わされる阿倍老人が、母に奉った歌。

修辞

誇張
天雲の果てまでという言葉で思いの深さを表す。

解説

越中大目高安種麻呂が伝え誦んだもの。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』下巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、698頁(コマ142)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』下巻 岩波書店、昭和5年(1930)、823頁(コマ175)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日