古典ライブラリー

万葉集 巻第十九 4242番

天雲の 去き還りなむ

藤原仲麻呂(ふじわらのなかまろ)

大納言藤原仲麻呂の家で遣唐使たちを送る宴で、主人の仲麻呂が詠んだ歌。天雲のように行って帰って来るものなのに、思いにふけってしまう、別れが悲しくてという歌。

大納言の邸での遣唐使送別の宴

題詞大納言藤原家にて入唐使等を餞する宴の日の歌一首(即ち主人卿之を作る)

  1. 1天あま天あまあま雲くも雲くもくもののの天雲乃
  2. 2去ゆ去ゆゆききき還かへ還かへかえりりりなななむむん去還奈牟
  3. 3ものものものゆゑゆゑゆえににに毛能由惠爾
  4. 4念おも念おもおもひひいぞぞぞ吾わ吾わわがががするするする念曾吾爲流
  5. 5別わかれ別わかれわかれかなしみかなしみかなしみ別悲美

引用の仕方

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現代語訳

天雲のように、行ってまた帰って来るものなのに、私は物思いをすることだ。別れが悲しくて。

意訳

必ず帰って来る旅とわかっていても、別れは悲しいと、遣唐使たちとの別れを惜しんだ歌である。

語釈・文法注

文法・本文

去き還りなむものゆゑに
行って帰って来るものなのに。

和歌

作者
藤原仲麻呂(706–764)
藤原武智麻呂の子。叔母の光明皇太后の信任を得て権勢をふるい、淳仁天皇から恵美押勝の名を賜った。のち道鏡と対立して乱を起こし、近江で敗死した。
出典
『万葉集』巻第十九・部立なし・4242番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第4期(733〜759年(〜万葉集の最後の歌))
状況
大納言藤原仲麻呂の家で、遣唐使を送る宴の歌。

修辞

比喩
天雲の往来にたとえる。

解説

藤原仲麻呂は武智麻呂の子で、のちに恵美押勝と名乗った。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』下巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、697頁(コマ141)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』下巻 岩波書店、昭和5年(1930)、822頁(コマ175)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日