古典ライブラリー

万葉集 巻第十九 4240番

大船に 眞梶繁貫き

光明皇后(こうみょうこうごう)

天平勝宝3年、春日で神を祭った日に、光明皇太后が遣唐大使藤原清河に賜った歌。大船に左右の楫を多く通して、このわが子を唐の国へ遣わす、神々よ守ってくださいという歌。

春日の社で、遣唐使の無事を祈る祭り

題詞春日にて神を祭る日、藤原太后の御作歌一首、即ち入唐大使藤原朝臣清河に賜ふ

  1. 1大おほ大おほおお船ぶね船ぶねぶねににに大船爾
  2. 2眞ま眞まま梶かぢ梶かぢかじ繁しじ繁しじしじ貫ぬ貫ぬぬききき眞梶繁貫
  3. 3此こ此ここののの吾子あこ吾子あこあこををを此吾子乎
  4. 4韓國からくに韓國からくにからくにへへえ遣や遣ややるるる韓國邊遣
  5. 5齋いは齋いはいわへへえ神かみ神かみかみたちたちたち伊波敝神多智

引用の仕方

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現代語訳

大船に左右の楫をたくさん通して、このわが子を唐の国へ遣わします。お守りください、神々よ。

意訳

甥にあたる遣唐大使藤原清河を「吾子」と呼んで、その航海の無事を神々に祈った歌である。

語釈・文法注

文法・本文

眞梶繁貫き
「まかぢしじぬき」。左右の楫をたくさん通して。
韓國
「からくに」。ここでは唐。
齋へ
「いはへ」。守ってください。

和歌

作者
光明皇后(701–760)
藤原不比等の娘。聖武天皇の皇后で、施薬院・悲田院を設けた。
出典
『万葉集』巻第十九・部立なし・4240番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第4期(733〜759年(〜万葉集の最後の歌))
状況
天平勝宝3年、春日の神を祭る日に、光明皇太后が遣唐大使藤原清河に賜った歌。

修辞

祈願
神々に呼びかける。

解説

藤原清河は房前の子で、光明皇后の甥。唐で帰国の船が難破し、ついに帰国できず唐で没した。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』下巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、696頁(コマ141)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』下巻 岩波書店、昭和5年(1930)、822頁(コマ175)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日